ハクチョウノミズウミ

雑多なごった煮。

野良猫と銭湯

向かいの家の屋根に、野良猫が住み着いている。種別はよく知らないけど多分三毛猫。隣の家の人が玄関に水と牛乳を置いているところから見るに、それなりに前からいるらしい。
自分が帰ってきて家に入るまでじーっと見ているかと思えば、休日にうるさく掃除機をかけていても微動だにしなかったりして、いまいち警戒の基準がわからない。
今日は、近くの銭湯に行こうと家を出ると、ちょうど道路に出る階段のあたりに例の猫がいた。自分が近づくと伸びをするように警戒しながらすれ違っていった。

さて、自分が通っている銭湯では、ちょくちょく風呂場のゴミを集めたり脱衣所を掃除したりするバイト?のお兄ちゃんがいる。今日も風呂から上がって、着替えて出る間際に、パンツ一丁の兄ちゃんが脱衣所でクイックルワイパーをかけていた。
ふと、兄ちゃんが歌いつづけている鼻歌が気になった。今までは気づかなかったのか、それとも忘れていただけなのか。小学校の校内放送でBGMとしてかかっていた記憶はあるけど、曲名が思い出せない。
記憶の底を掘り起こしながら、着替えて銭湯を出た。

家に帰りながらなおも思い出そうとしていると、後ろから例の鼻歌が聞こえた。
ぎょっとして後ろを振り返ると、さっきの兄ちゃんがすぐ後ろを歩いていた。どうやら彼も家に帰るらしい。
ちょっとびっくりして F1 よろしくラインを譲ると、人より速いと思っている自分の歩きを追い抜いていく兄ちゃん。
気になって更に歩きを早めて追いかけると、「そこ、道あったの?」というところに入って消えていった。

ふと、あの猫みたいだなあと思った。
家に帰って向かいの屋根を見ると、案の定その猫はいなかった。
夜だけ人に化けて、銭湯でバイトする猫なんていたら、めっちゃ面白いけどな。

ちなみに例の曲はラヴァーズ・コンチェルトでした。

www.youtube.com